MECEとは

MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)とは?

 

MECE(ミッシーまたはミーシー)とは、情報を整理するときに「漏れなく、ダブりなく」分解するための考え方です。論理的思考(ロジカルシンキング)をする際に欠かせない基本概念であり、ビジネスの問題解決や戦略立案に広く活用されます。

MECEは、以下の2つの条件を満たすことが重要です。

 

1.Mutually Exclusive(相互に排他的) 各項目が重複しないように分類すること

2.Collectively Exhaustive(網羅的) すべての要素を含め、抜け漏れがないようにすること

 

このフレームワークを活用することで、問題の本質を明確にし、的確な分析や意思決定ができるようになります。

 

MECEの重要性と活用場面

MECEの考え方は、特に次のような場面で役立ちます。

 

  • 問題解決: どこに課題があるのかを明確にする
  • 市場分析: ターゲット層を網羅的に分類し、戦略を立てる
  • コスト削減: どの経費を削るべきかを論理的に整理する
  • 組織設計: 役割や業務範囲を重複なく分ける

では、具体的な例を見ながらMECEの考え方を深掘りしていきましょう。

 

具体例1:社員を年齢層で分類する場合

 

企業が社内の人材データを整理する際に、社員を年齢層ごとに分けるとします。

 

【NGな分類(MECEになっていない例)】

  • 20代以下
  • 30代以下
  • 40代以下
  • 50代以上

この分類では、たとえば28歳の社員が「20代以下」と「30代以下」の両方に該当してしまい、重複(Mutually Exclusiveでない)が発生します。また、次のような分類も問題があります。

  • 20代以下
  • 30
  • 40

この場合、50代以上の社員が抜け落ちており、網羅的でない(Collectively Exhaustiveでない)状態になっています。

 

MECEになっている分類例

  • 20代以下
  • 30代
  • 40代
  • 50代以上

この分類なら、各社員がどれか一つのグループに必ず属し(相互に排他的)、すべての社員を網羅できる(網羅的)ので、MECEになっています。

 

具体例2:コスト削減の分類

 

企業がコスト削減を検討する際、MECEを意識せずに考えると以下のようになります。

 

【NG例(MECEになっていない分類)】

  • 出張費の削減
  • 経費の見直し
  • オフィスの維持費の削減
  • 光熱費の削減
  • 交通費の削減

この分類では、「出張費の削減」と「交通費の削減」が重複している可能性があり、「備品費の削減」や「人件費の削減」などの項目が抜けている可能性があります。

 

【MECEになっている分類例】

  • 人件費の削減
  • 設備費の削減
  • 消耗品費の削減
  • 光熱費の削減
  • 交通費の削減
  • 出張費の削減

このように、各項目が重ならず(相互に排他的)、かつすべてのコスト要因をカバーしている(網羅的な)状態に整理すると、分析がしやすくなります。

 

具体例3:顧客セグメントの分類

マーケティングの戦略を立てる際、ターゲットを分類するときにもMECEの考え方は重要です。

 

【NG例(MECEになっていない分類)】

  • 若者向け
  • 学生向け
  • 20
  • 高齢者向け

この分類では、たとえば「19歳の大学生」は「若者向け」「学生向け」「20代」のどれにも当てはまり、重複が発生してしまいます。

 

MECEになっている分類例

  • 10代以下
  • 20
  • 30
  • 40
  • 50代以上

また、次のような分類も考えられます。

  • 学生
  • 社会人
  • 主婦・主夫
  • シニア層

このように、ターゲットが重ならず、かつすべての顧客層をカバーすることで、効果的なマーケティング戦略が立てられます。

 

MECEを意識することで得られるメリット

 

MECEを活用すると、次のようなメリットがあります。

 

1.抜け漏れやダブりを防ぎ、分析しやすくなる

例えば、売上が伸び悩んでいる原因を特定するときに、MECEを意識した分類をすると、どの要因が問題なのかが明確になります。

 

2.論理的に整理でき、意思決定がしやすくなる

経営戦略やビジネスプランを立てる際に、MECEで情報を整理することで、効果的な施策を導き出せます。

 

3.説明がわかりやすくなる

MECEを意識して情報を整理すると、関係者への説明が明確になり、スムーズなコミュニケーションが可能になります。

 

まとめ

 

MECEは、ロジカルシンキングの基本であり、ビジネスにおける問題解決や意思決定に欠かせない考え方です。

 

1.Mutually Exclusive(相互に排他的) 重複がない

2.Collectively Exhaustive(網羅的) 漏れがない

 

この2つを意識して情報を整理することで、問題の本質を捉えやすくなり、効果的な解決策を導き出せます。日常の業務やプライベートでも、「この分類はMECEになっているか?」と意識することで、論理的な思考力を鍛えることができます。ぜひ、実践してみてください。

 

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