MECE(ミッシーまたはミーシー)とは、情報を整理するときに「漏れなく、ダブりなく」分解するための考え方です。論理的思考(ロジカルシンキング)をする際に欠かせない基本概念であり、ビジネスの問題解決や戦略立案に広く活用されます。
MECEは、以下の2つの条件を満たすことが重要です。
1.Mutually Exclusive(相互に排他的) → 各項目が重複しないように分類すること
2.Collectively Exhaustive(網羅的) → すべての要素を含め、抜け漏れがないようにすること
このフレームワークを活用することで、問題の本質を明確にし、的確な分析や意思決定ができるようになります。
MECEの考え方は、特に次のような場面で役立ちます。
では、具体的な例を見ながらMECEの考え方を深掘りしていきましょう。
企業が社内の人材データを整理する際に、社員を年齢層ごとに分けるとします。
【NGな分類(MECEになっていない例)】
この分類では、たとえば28歳の社員が「20代以下」と「30代以下」の両方に該当してしまい、重複(Mutually Exclusiveでない)が発生します。また、次のような分類も問題があります。
この場合、50代以上の社員が抜け落ちており、網羅的でない(Collectively Exhaustiveでない)状態になっています。
【MECEになっている分類例】
この分類なら、各社員がどれか一つのグループに必ず属し(相互に排他的)、すべての社員を網羅できる(網羅的)ので、MECEになっています。
企業がコスト削減を検討する際、MECEを意識せずに考えると以下のようになります。
【NG例(MECEになっていない分類)】
この分類では、「出張費の削減」と「交通費の削減」が重複している可能性があり、「備品費の削減」や「人件費の削減」などの項目が抜けている可能性があります。
【MECEになっている分類例】
このように、各項目が重ならず(相互に排他的)、かつすべてのコスト要因をカバーしている(網羅的な)状態に整理すると、分析がしやすくなります。
マーケティングの戦略を立てる際、ターゲットを分類するときにもMECEの考え方は重要です。
【NG例(MECEになっていない分類)】
この分類では、たとえば「19歳の大学生」は「若者向け」「学生向け」「20代」のどれにも当てはまり、重複が発生してしまいます。
【MECEになっている分類例】
また、次のような分類も考えられます。
このように、ターゲットが重ならず、かつすべての顧客層をカバーすることで、効果的なマーケティング戦略が立てられます。
MECEを活用すると、次のようなメリットがあります。
1.抜け漏れやダブりを防ぎ、分析しやすくなる
例えば、売上が伸び悩んでいる原因を特定するときに、MECEを意識した分類をすると、どの要因が問題なのかが明確になります。
2.論理的に整理でき、意思決定がしやすくなる
経営戦略やビジネスプランを立てる際に、MECEで情報を整理することで、効果的な施策を導き出せます。
3.説明がわかりやすくなる
MECEを意識して情報を整理すると、関係者への説明が明確になり、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
MECEは、ロジカルシンキングの基本であり、ビジネスにおける問題解決や意思決定に欠かせない考え方です。
1.Mutually Exclusive(相互に排他的) → 重複がない
2.Collectively Exhaustive(網羅的) → 漏れがない
この2つを意識して情報を整理することで、問題の本質を捉えやすくなり、効果的な解決策を導き出せます。日常の業務やプライベートでも、「この分類はMECEになっているか?」と意識することで、論理的な思考力を鍛えることができます。ぜひ、実践してみてください。
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